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  自立


 一般的には就職した時点で自立したとみなされます。ところが実はそれだけでは本当の意味での自立にはなりません。真に自立することは実は難しいことで、おそらく一生をかけてのテーマなのでしょう。同時に人生においてはとってもとっても重要なことです。本当の意味での自立には、「経済的自立」「社会的自立」「精神的自立」の3つがあります。

1、経済的自立
一般的には、就職すれば経済的に自立したといわれます。親の世話にならずに自分の生活費は自分で稼ぐようになるからです。
 ところがそれだけでは本当に経済的に自立したことにはなりません。会社の中で最低限給料の分だけの経済的価値を生み出して初めて、本当の意味で自立といえるのです。もしも給料の分さえも価値を生んでないとしたら、それは会社に養ってもらっているのです。養ってもらうのが親か会社かが違うだけで、親のスネをかじっている子供と何一つ変わらないのです。いわゆる「社内失業」がこれです。単に職があるからと甘んじることなく、自分の生産性(生み出す価値)を常に意識して、真に経済的に自立できるようにしましょう。

2、社会的自立
 例えば「会社では業務の質こそが大切であって、人間関係云々の感情論は仕事に持ち込むべきではない。上司に嫌われようが同僚から無視されようが構わない」という考えを持っている人がいるとしましょう。この場合、この人は自立していると言えるでしょうか?
 答えはNO。個人を会社に例えれば、給料は「売上」に相当します。上司は「顧客」です。仕事をもらうのも評価されるのも上司からです。お客さんを怒らせて商売が成り立ちますか?あなたがもし会社の社長だったらどうだ?顧客の感情なんてどうでもいいなんて思わないですよね。
 さらに言えば、会社は「マーケット」に、同僚の人々は「社会」に相当します。自社を理解し、そのニーズを満たそうとする努力は「マーケティング」に、日頃から良好な人間関係を保つことは、「広報活動」に相当します。つまり、冒頭のような考えでは、世間では一本立ちできないのです。組織の中だからこそ食いっぱぐれず生きていけるのです。周りの人が寛大さだから許されているのです。人間は一人で生きてはいけません。それに気付かない人は「他人に頼らない自分は自立した人間」と思っていたりしますが、実は社会的に自立できていない「甘えん坊のおこちゃま」です。
 自分で自分の周りの人間関係をつくっていける人が、真に社会的に自立した人です。

3、精神的自立
 みんな人間ですから、落ち込むときもあれば弱るときもあります。そんなとき、お互いに励ましあっていくのはとても美しいことです。でも過度に周りを振り回すような感情の波はダメです。機嫌がよいときはよいが、悪くなると半径10メートルの人々を巻き込んで雰囲気を暗くする。常に誰かが「よしよし」しないとネガティブになる。そんな人は精神的に自立していません。
 適度に甘えるのは可愛いのでOK。だけど周りが負担に感じるような甘え方はしないように、自分の感情は自分でコントロールする。それができらた精神的な自立です。