翻訳・通訳のグローヴァ
人事方針の基本は「自由と平等」。GLOVA独自の人事システムを公開
2002
株式会社GLOVA
All Rights Reserved.
4.能力を開花させる
欠点を責めるのではなく、長所を活かす。
能力と配属のベストマッチング

 「美点凝視」という言葉があります。人間誰しも長所もあれば短所もある。短所ではなく、長所を見ようという意味です。よく自分の部下の欠点や未熟なところを挙げて、その批判を得意そうに話する人がいますが、そういう人は何か勘違いしていると思います。人に使われる側の能力が、上から与えられた課題をどれだけしっかり遂行できるかで決まるとすれば、人を使う側の能力は自己に与えられた部下の能力をどれだけ活かせるかできまるはずです。欠点を探して嘆いたり責めたりするだけなら、誰でもできますよね。出来上がった人材に、出来あいの職務をあてがうだけなら簡単です。そんな上司は世の中で許されても、GLOVAでは恥ずかしいこととして戒めます。

 人の上に立つ立場にいる人は、ある意味でプロデューサーのような役割を期待されると思います。プロデューサーのように「まだ開いていないツボミに可能性を見出して、ステージを創り大きく開花させる」ということができるかどうかが、上に立つものの能力であるはずです。そのためには、まず人間に対する見方として「美点凝視」が必要です。大抵の人間は長所もあれば短所もあり、その能力は人それぞれ様々な個性をもっているという事実を踏まえれば、欠点を見出してその度に否定していたら、無難な人だけが残り、多彩な個性と能力を活かすことができません。逆に、様々な個性をもった人たちが、それぞれの能力を最大限に発揮できたら、どれほど強い組織になるか。

 「秀でた能力(素質)を見つけて、開花するようなアサインメント(配属・業務の任命)を創出する」というのが、GLOVA人事の目標です。



 ただし、誤解のないようにいっておくと、「各人の個性にあったアサインメントを」という意味は、「何でも好きなことをしていい」という意味ではありません。成果は出すというのが前提です。そもそもの目的は、より高い成果を生み出すことなのですから。成果(生産性)関係なしに、好きなことをしたいというのは単なるわがままです。慈善施設ではないので、そのようなわがままは通りません。



社員のキャリアプランをカウンセラーがサポートする「HOME制度」

 我々の業態は工場や機械もなければ大きな設備投資もありません。会社の業績を決めるのはすべて「ひと」です。そういう意味では、GLOVAにとって「ひと」は文字通りの「資産」といえます。そしてその資産の価値を左右する「ひと」のマネジメント(ヒューマンリソースマネジメント)は、まさに会社の命運を左右するものです。ヒューマンマネジメントとは「各人の能力に対して、最大限のパフォーマンスを引き出せるようにするマネジメント」です。それは具体的な業務指導を行ったり、間違いを注意して正すことだけではありません。「それぞれの個性、能力が発揮できるよう適材適所を行う」「能力的成長のためのアドバイスを行う」「仕事にやりがいを持たせる」「励ます」「誉める」といったガイド的な役割も大切なマネジメントです。

 通常は、これらのヒューマンリソースマネジメントを直属の上司によって行われるのですが、GLOVAでは「ひと」という資産が経営に占める大きさをかんがみて、直属の上司にプラスして、専属のカウンセラーを社員につけ、常にコーチングしていくという制度を試みています。

 制度の名前をHOME(Human & Organizational Management for Empowerment)といいます。具体的には、社員は各部署に所属する前にまずHOMEに所属します。そしてHOMEという本籍地から、各部署に配属(アサイン)されます。つまり、HOMEとアサイン先の部署と2重に所属することとなります。HOMEは文字通り「家」のようなものです。アサインされている期間中の業務では、アサイン先の上司の指揮命令に服することになりますが、その間にも社員は同時にHOMEに属します。別の部署に転属アサインする時も、再度HOMEからアサインされます。つまり社員にとっては、HOMEのカウンセラーは社内生涯を通じての相談相手であり、よき指南役となるわけです。

HOME(Human & Organizational Management for Empowerment)



最後に

 以上の理念は、決して口ばっかりのお題目に終わるつもりはありません。これらは建前上の奇麗事ではなく、実際に会社の、社員の、行動ひとつひとつに貫かれる価値基準となることを目指しています。現在のGLOVAがこれらの理念を完璧に実行できているとは思っていません。組織が人間の集まりである限り、どこかに理念に反した人または行動がでてくるのは避けようのないことだと思っています。重要なのは、だからといって問題を放置しないことです。理念に反した行動があれば、修正するよう努力をし続けることが大切です。ですから明らかに理念に反する行動があれば、それが例え上司であっても、または私自身であった時でさえも、報告してもらいたいと思います。話をきいて確かに理念に反していると判断すれば、速やかに正す努力を行います。

 また、最後に断っておきたいのは、これらの理念の内容はいささか理想主義だとは思いますが、決して甘ったるい絵空事のような世界をつくりたいわけではありません。すべての話には「きっちりした成果を出すこと」=「まともな生産性がある」ということが大前提としてある。やることはやるということが前提の上での理想主義です。
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