翻訳・通訳のグローヴァ
II「正確な伝達」編
Lesson5

Lesson6
2002
株式会社GLOVA
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Lesson 5 キャッチボールになってますか?
講義

  第?編では「正確な伝達」編と題して、正確なコミュニケーションを行うための技術を学んでいく。つまり、複数の人の間で意図を正確に伝達するための方法論だが、その大前提になるのが、そもそも会話になっているかどうかだ。方法論以前に、話相手の意味(意図)を理解するつもりがなければ話にならない。
  一般的に「会話はことばのキャッチボール」だとよく言われる。しかし日頃の業務の中では、キャッチボールになっていない会話が非常に多く見受けられるのが実状だ。まず、1〜6の会話を読んで、キャッチボールになっていないものを挙げてみよう。

会話1
上司:「田中商事との商談結局どうなったの?」
部下:「すみません。ここ最近とっても忙しくて」

会話2
上司:「なぜ昨日君は会議に参加しなかったの?」
部下:「次回からは必ず参加します」

会話3
部下:「課長。この前提出した申請書見ていただけましたか? 」
上司:「ああ見たけど、あれ誤字だらけだったよ。ちゃんと見直してから
          出してくれよ」
部下:「明日までに回答を頂かないと困るのですが」

会話4
上司:「すぐやりますと言ってから、もう1ヶ月も経ってるじゃないか!
          どういうつもりなんだ?」
部下:「 1ヶ月も経ってません。25日です」

会話5
上司:「その話誰から聞いたの?そんなはずはないのだけど」
部下:「いえ、間違いないはずです」

会話6(おまけ)
上司:「 結局問題の原因は、お客さんからもらった修正原稿を古いも
            のと差しかえるのを 忘れたということじゃないのか?」
部下: 「そうかも知れません。では、この件に関しては、今度確認して
           おきます。」
上司: 「え? 誰に確認するの?」
部下: 「原稿の差し替えが、行われたかどうかをきちんと確認します。」
上司: 「いや、だから誰に?」
部下: 「確認しないと、私の方では経緯をはっきり覚えてませんので。」
上司:「 それはさっき聞いたよ! 誰に確認するのかと聞いてるんだよ。」
部下: 「メールで質問事項を書いて送ります。」
上司: 「だから!誰に? だ・れ・に? Who ? 誰に確認するの!」
部下: 「。。。。」
上司: 「君以外に、この件に携わった人間はいるのか?」
部下: 「いえ、いません。」

会話がキャッチボールだといわれる理由をしっかり考えてみよう。

キャッチボールをするには、
1、 相手が投げてきたボールを受け取り、
2、相手の構えているところに、ボールを投げ返す。
ということをしなくてはならない。

会話に当てはめれば、
1、 相手の言葉の意味(意図)を理解し、
2、 その意味・意図を踏まえて、言葉を返す。
ということになる。

相手の話を聞かないで、一方的に自分の話をする → ボールを受け取らない
相手の求めている答えになっていない話をする → 暴投
にならないように注意しよう。
キャッチボールのように会話できるようになること。
それが、具体的な技術論以前の基本精神だ。
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