Lesson8 傾聴
|
|
1 基本精神
|
|
|
相手の言いたいことを捉えて、相手の心に耳を傾けるのが、カウンセリングマインドであり、傾聴の基本精神。相手の言葉尻の間違いや論理的な矛盾点をいちいち指摘して追いつめるのは、傾聴の精神ではない。目的を考えれば明白だ。お客様は商品(サービス)を求めているのであり、会社側はそれを買ってもらって満足してもらうことが目的だ。お客様に対して、言葉の間違いを責めたてたり議論をふっかけることに、何のメリットも無い。
相手の発する言葉の表面ではなく、相手が言いたい事−意図を知ろうとする。そのためには相手が話やすいようにしてあげること。この人は自分の話を聞いてくれようとしていると思ってもらえることが必要となる。それが傾聴の精神に則った聴き方だ。それでは、そのための具体的な方法をみていこう。
|
2 具体的な方法
|
a) あいづち b) 復唱 c) 共感 d) 質問
|
a) あいづち
たかがあいづち、されどあいづち。最初のLessonで挙げた「はい」の例を思いだそう。あいづちも声の表情次第で、相手の心地良さは随分違う。
「はい」「ええ」「なるほど」「えー!」「ほおっ」「あらー!」
スピードや頻度にも注意。焦っている感じにならないように。感情を込めて。
練習しよう
「ダイアログ」ボタンをクリックしてしっかり系、おざなり系の2つのダイアログを聞こう。どの部分で印象が変わっているだろうか。違いが現れる箇所は、スクリプトに赤字で記されているので、その後確認してみよう。
|
|
b) 復唱
相手の話をある程度聞いた時点で、話のポイントを整理して「…ということですね」と繰り返す。「私はあなたの話をこのように理解しましたが、それで間違いありませんか?」という気持ちを込めていう。相手の話を真剣に聞いているという意志表示になる。
「… という意味ですね」「… というわけですね」「…ということでよろしかったでしょうか」
練習しよう
「ダイアログ」ボタンをクリックしてしっかり系、おざなり系の2つのダイアログを聞こう。どの部分で印象が変わっているだろうか。違いが現れる箇所は、スクリプトに赤字で記されているので、その後確認してみよう。
|
|
c) 共感
相手の話に同情や共感を示す。人は自分の話に共感してもらえると単純に嬉しい。b)の復唱は、相手の話を真剣に聞いているという、いわば「誠意」の意志表示だが、さらにもう一歩進んで「好意」の意思表示と言える。
<賛成系>
「それはそうですよね」「もっともですね」「全くその通りです」
「当然ですよね」
<喜び系>
「素晴らしいですね」「うれしいですね」「おめでとうございます」
「さすがですね」
<同情系>
「つらいですよね。そういう時は」「それはひどいですね」「許せませんね」
さらに単純に共感のことばをいうだけでなく、相手の意図に沿うかたちで、自己の意見を言えたらさらに相手は嬉しい。単に表面上の共感ではなく、本当に理解してくれているのだなと気があう理解者・仲間と思ってもらえる。ただし、相手の意図に賛同したつもりが、実はとんちんかんなものだと逆効果なので注意を要する。そこで次の項目「質問」が必要になる。
練習しよう
「ダイアログ」ボタンをクリックしてしっかり系、おざなり系の2つのダイアログを聞こう。どの部分で印象が変わっているだろうか。違いが現れる箇所は、スクリプトに赤字で記されているので、その後確認してみよう。
|
|
d) 質問
あいづちや復唱を行っても、わからないことをわからないまま聞くと、上っ面だけ合わせたかえって誠意のない聴き方になってしまう。そういう場合は、質問をすることによって、相手の意図をより明確に知ることができる。相手のとっても「ああ、この人は本当に理解しているな」という安心感にもつながるし、自分の話に興味をもってもらえているという気持ち良さもある。口に出して聞いてくれとは言わないが、人に聞かれたいことというのもあるだろう。
|
|