翻訳・通訳のグローヴァ

  「考え」の選択 8ヶ条 : 5.不満を忘れ、感謝は忘れない


 盲目でありながら作家を目指す人に、ある人が尋ねた。
「目が見えないのは作家になるには不利ではないですか?」
「どちらかと言えば不便なことはあるが、たいしたことではない」
と盲目の人は答えた。そしてその人は、ただひたすら本を書き続けて、ついには売れっ子作家として大成功をおさめたそうです。


 我々は他の人に比べて恵まれていることや、厚意を受けたことには気付かなかったり、すぐ忘れたりします。その一方で、ちょっとでも不便なことがあったり、不利な扱いを受けると、見逃すことなく執着してしまいます。隣の人が気に障ることを言ったとか、他の人と少し違う条件の元で仕事をするとか。ちょっとしたことでも、「不公平だ」「気にいらない」「許せない」と。
 盲目であることがたいしたことないならば、我々五体満足な者が日頃、こだわる不平不満はいかに小さなことでしょうか。
 一度、自分が恵まれている点を書き出してみて下さい。それらの恵みを失った時のことを考えて見てください。いかに、恵みに感謝することを忘れ、不平不満を言っているかに気づくことでしょう。もちろん、今よりさらに恵まるに越したことはありません。しかし、現在の状況に感謝することも忘れてはならないのです。


「どちらかというと不便だが、
たいしたことではない」
盲目の作家の言葉である。
では、私たちの不平不満は?