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ラポールとは
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道理と損得と自尊心 |
何かを人に頼んでも動いてくれなかったとき、「できないと断られた」「説得しようとしたけど無理だった」なんて、その理由を並べるけど、本当にそう?だめだった理由は本当に不可能だから?物理的に「できない」のではなくて、心情的に「したくない」のではないか?
クレーム対応でお客さんが激怒したときは、本当に商品の欠陥で利益を害したからだけなの?実は言い方や態度に誠意が感じられなからということはないだろうか?
人の行動に影響するものは3つある。「頭」「心」「腹」。
「頭」とは理性。理屈、論理、倫理、道理、義理、合理といった「理」というキーワードで表されるもの。法律、規定、ルール、義務、責任もこれに入る。「すべきだ」「しなくてはならない」というようなことばで表現される。
「心」とは感情。好きだ。嫌いだ。腹が立つ。うれしい。怖い。悲しいといった感情。キーワードは自尊心。人は自尊心を満たせるものはイエス、傷つけるものはノーという。
「腹」とは損得。腹をさぐる、腹が黒い、腹汚い、私腹をこやすなど、「腹」は個人の損得という意味で使われる。
人によって、行動するときに、これら3つのどれにどの程度影響されるかは異なる。会話の表面上は「道理」が中心になっている。とこらが実際には、人に与える影響は最も少ない。「道理」は合っているはずなのに人が動かないときには、大抵の場合、感情や損得にひっかかりの原因である。そういう場合でも「損得や感情が原因です」とことばにされることはない。あくまでも理屈の問題のように語られる。「嫌だからノー」の場合でも、「○○すべきではない」「○○できない」というふうに道理でノーの理由づけをする。ここが極めてトリッキーなところ。感情や損得が問題になっていることは、会話の表面に出てこないところにある。そこで、表面にでないことをいかに感じとることができるかが、対人関係を築いたり、人を動かしたりする能力の差となる。
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ラポール |
ラポールとは、円滑にコミュニケーションができる土台となる健全な人間関係のこと。「頭」「腹」「心」のなかの「心(感情)」のパートに関係する。誰かに頼みごとがあるときには、ラポールがなければ、なかなか相手はいうことを聞いてくれない。ラポールの基本は相手に対する「誠意」「好意」「敬意」。その根底にあるのは人間愛である。日頃からのつきあいの中で醸成されていくラポールは、ありとあらゆる人間関係の基礎となる土台のようなもの。反対に人間関係が負の心理にある状態をアンチラポールという。人はアンチラポールがある相手に対しては、「道理」にあっていても、さらには自己の「損得」に合致していたとしても、依頼や協力を断ることがある。そういう意味では「心(感情)」は人を動かす三要素の中でも最も強い影響力を持っているといえる。周りの人と片っ端からアンチラポールをつくる人間は、どんなに勉強ができようとどんなに専門スキルがあろうと、その能力を活かすことはできない。不幸な人生を自ら選択する不幸キャラだ。
では、ラポールとアンチラポールの状況を具体的に挙げると、
【ラポール】
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【アンチラポール】
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- 好意がある
- 信用している
- 誠意がある
- 敬意をもっている
- 素直に話できる
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- 反抗心がある
- 信用していない
- 誠意がない
- 軽蔑(無視)している
- 構えてしまう
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次に、ラポールをつくる行動とアンチラポールをつくる行動を挙げていくと、
【ラポールをつくる行動】
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【アンチ・ラポールをつくる行動】
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- 会ったら挨拶をする
- ほめる
- 敬意を払う
- 関心を持つ
- 好意を示す
- 賛同する
- 共感する
- 誠意をもって接する
- クイックレスポンス
- まめに接する
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- 無視する
- けなす
- 軽視する
- 自分のことばかり話す
- 敵意を示す
- 否定する
- 批判する
- うそをつく。だます。
- レスポンスが遅い
- 遠ざける
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(詳しくは→「コミュニケーション講座3 Happy Communication」参照)
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